月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「東老師。
獅子と繋ぎをとってくれる?
内密で。」
「仰せのままに。」
東苑は、はやりこれも引き受けてくれた。
東苑と王の距離は、決して動いてはならない。
それからすぐに、獅子との約束が取り付けられた。
場所は、赤天殿の一室である。
礼、朱雀、獅子で会うことになっている。
劉巾が何かあると知って、しつこくつきまとっていたようだが、何とか追い出したらしい。
彼まで巻き込むことを、朱雀が極端に嫌がったのだ。
「で?
王様。」
獅子は真っ直ぐに礼を見てきた。
礼は目を閉じ、一呼吸置いて獅子を見た。
これでもう、引き返せない。