月物語2 ~始まりの詩にのせて~



「東老師。
獅子と繋ぎをとってくれる?
内密で。」



「仰せのままに。」



東苑は、はやりこれも引き受けてくれた。



東苑と王の距離は、決して動いてはならない。



それからすぐに、獅子との約束が取り付けられた。



場所は、赤天殿の一室である。



礼、朱雀、獅子で会うことになっている。



劉巾が何かあると知って、しつこくつきまとっていたようだが、何とか追い出したらしい。



彼まで巻き込むことを、朱雀が極端に嫌がったのだ。



「で?
王様。」



獅子は真っ直ぐに礼を見てきた。



礼は目を閉じ、一呼吸置いて獅子を見た。



これでもう、引き返せない。





< 77 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop