月物語2 ~始まりの詩にのせて~
駄目だ。
こうなっては伯升は引き下がらない。
「いいんだな?」
伯升が頷いた。
「主上が、お前を脱獄させる。
そして、お前は主上と子州へ向かえ。」
―は?
一瞬、頭の中がこんがらがって、獅子が何を言っているのかがわからなかった。
「鍵は、主上が持ってくる。
長官からどうにか奪ってくるんだと。」
「馬鹿な…」
「お前と主上とで楊太僕を助け出す。
主上は本気だ。」
張湯は絶句する。
自分の脱獄と楊太僕の救出が繋がらない。