月物語2 ~始まりの詩にのせて~
雨乞いの経費は、半分が懐へ流れた。
愚かな王だ。
だが、嫌いではない。
お腹をたぷたぷ揺らしながら、満面の笑みを浮かべる。
―それにしても、死んだというのに、どういうことだろう。
風貌も変わって戻ってきたぞ。
まあ、それも俺には関係がないことだが。
礼の執務室を叩く。
「金大好でございます。」
入れ、と言う王の声が聞こえた。
「何のご用でしょう。」
―はて、一人か?
王は人払いしているようだ。