月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「いったい何を…」
「あなたに言う必要はないわ。」
礼はぴしゃりと言った。
金大好が口を開こうとすると、王はまだ続ける。
「いい?
これは、内密にかつ速やかにやってちょうだい。
バレたら首を飛はすわよ。」
小さい身体から、黒い凄みが出た。
金大好の背に、汗が一粒流れる。
戻ってきた王は、とても小さくなっていたが、何か別のものが大きくなった気がする。
とにかく、金大好は首を縦に振った。
礼の執務室を出ると、詰まっていた息を盛大に吐いた。
―本当にいったい何なんだ?
金大好はすぐさま、用意を始めたのだった。