月物語2 ~始まりの詩にのせて~
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伯升は、再び王の寝室に忍び入った。
注意深く様子を覗う。
王には、男が一人ついていた。
―祝融か。
よし。
伯升は、天井裏から飛び降りた。
気配に朱雀が振り返る。
仰天した朱雀が、王を背に庇った。
「あなたが、伯升ね?」
王が祝融の背中から出てくる。
「ああ。」
会うのは二回目だが、特に驚いた様子は見せない。
「こないだのは、何だったのかしら?」
いちを覚えてはいたようだ。
祝融はまだ警戒している。
「隊長を、張二官を捕らえた人物を見にきた。」
「何だ貴様!」
朱雀が、声をあげた。
王がしーしー言っている。
確かに見つかると困る。
朱雀は、自分の話し方に怒ったのだろうか。
それとも―――。