月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「構わない。
けど、最低限の役目は果たしてちょうだいね。
こっちは腕はからっきし駄目なんだから。」
伯升は自然に頷いた。
自分は、この王が嫌いではない。
「旅支度は、手配済み。
問題は、鍵ね。」
鍵は、杜廷尉が持っている。
王が露台に腰掛けた。
それにくっついて、朱雀が横に座る。
祝融は、あまり好きではない。
「あなた、鍵とかあけれないの?」
「そっちはお前たちが何とかすると、獅子にいわれた。」
「おい!
さっきからなんだ、その口の聞き方は!」
「落ち着きなさいよ。
あたしは構わないから。
友達みたいで、ちょっと新鮮だし。
ね?」
朱雀がむくれている。
―友達?
俺が?
耳の後ろがこそばゆい感じを覚えた。