月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「鍵って予備とかないのかしら?」
「俺の知っている限りでは、ない。」
「あなたが盗むってのは?」
「警備が厳しい。
そもそも、杜廷尉自体が鍵の万人みたいなもんだ。
獅子までとは言わずとも、相当な腕を持っている。
それに、盗んだ後を考えろ。
俺が手配されれば、旅がしずらくなるぞ。
隊長は、仕方がないが。」
朱雀の視線が矢のように飛んでくる。
痛くも痒くもないが。
王はこめかみに指を当てて考え込んでいる。
そして、ポンと手を打った。
「鍵を造るっていうのは?
鍵を盗むのは難しくても、手に入れるのは簡単よね。」