月物語2 ~始まりの詩にのせて~



「鍵って予備とかないのかしら?」



「俺の知っている限りでは、ない。」



「あなたが盗むってのは?」



「警備が厳しい。
そもそも、杜廷尉自体が鍵の万人みたいなもんだ。
獅子までとは言わずとも、相当な腕を持っている。
それに、盗んだ後を考えろ。
俺が手配されれば、旅がしずらくなるぞ。
隊長は、仕方がないが。」




朱雀の視線が矢のように飛んでくる。



痛くも痒くもないが。



王はこめかみに指を当てて考え込んでいる。



そして、ポンと手を打った。



「鍵を造るっていうのは?
鍵を盗むのは難しくても、手に入れるのは簡単よね。」




< 94 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop