月物語2 ~始まりの詩にのせて~
4章 共同戦線 ~脱獄と王宮脱出篇~
―1―
杜廷尉は、王を待っていた。
意外に早かったと思う。
そう考えて、自分が王に期待していることに気づいた。
初めて見たときは、これが王かと呆れもしたが、帰ってきた王はどうやら見込みくらいはできたらしい。
朝議の馬鹿発言は、相変わらずだが、ちょっとはマシな馬鹿になった。
別人のような、いや、今までが別人だったのか。
だが、杜廷尉にとって、王に何があったかなんてどうでもよい。
自分が計るのは、王なのだ。