月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「獅子は、どうするのかな。」
ふふっと、一人語散る。
獅子を選んで、すぐに実行に移した王。
その点は評価する。
朝議が混乱している今、逆にそれは活かせるのだ。
清罪宮のことなど、誰が考えよう。
高官たちの関心は、子州にある。
早ければ早い方がいい。
口が口角を勝手に上げる。
容赦はしまい。
自分が不利になることも。
獅子も、手放す気はない。
どんな手で鍵を奪うのか見定める。
くだらない小細工なら、その場で帰らせよう。
部屋に気配が近づいてきた。
―お手並み拝見といこうか。
「どうぞ。」
杜廷尉は、にやり顔を引き締めた。