狂愛
でも……。
「あいつ別れてからもしつこかったよな」
「えっ、そーなのか?」
神妙な顔をする悠木の言葉に仁が間抜けな声で言う。
彼にされたことを全て話したのは男友達では悠木だけだった。
別れてから2週間、毎日ずっと携帯が鳴りっぱなしだったのだ。
メール、電話、電話、メール。
内容は全部『やりなおそう』というもの。
耐え切れなくなった私は悠木に相談し、携帯電話を変えた。
「もしかしたら逆恨みしたそいつかもな」
「俊は……」
『そんなことしないよ』
そう言いたいのに、言い切れない。
一度は好きになった人だから信じたいのに。
だけど、今までのことを考えたら言えなかった。