狂愛
心臓がこれでもかっていうくらいに跳ね上がる。
しかし、所詮女のスピード。
「……はぁっ…っ」
「――っ!」
人一人分後ろで男の荒い息遣いが聞こえた。
そして……。
「―――きゃっ!!」
後ろから伸びてきた手についにあたしは捕まった。
ぐいっと後方に引っ張られた反動で地面に叩きつけられる。
「……っいた…」
打ちつけた全身に鈍い痛みが走った。
でもそんなにものに構っていられない。
逃げなきゃ!