狂愛
「あぁ、アイツにナイフでやられたよ。 でもそんな深くないし平気」
「私のせいだね、ごめんね…」
持っていたハンカチを彼の手に巻きつける。
再び自然と目に溜まっていく涙。
こんなことになる前にやっぱり警察に行けばよかった…。
悠木に怪我までさせて、あたしサイテーだ。
「なに泣いてんの」
悠木は静かに笑って指で私の涙を拭う。
その瞬間、ドクンっと胸が高鳴った。
そしてずっと友達としか見てなかった彼が一人の『男』に変わった。
どうしよう、ドキドキ、する。
でも、悠木から目を逸らしたくない。
「あんまりそういう顔で見られると、ヤバイんだけど…」
真剣な表情だけど少し照れてる彼。