狂愛

「ヤバイってなにが?」



嘘、本当はちょっと分かってる。

でも私はそ知らぬ顔で尋ねるの。


すると悠木は、涙を拭う手を私の耳の辺りに移動させた。



「キス、したくなる……」



言うと同時に降ってきた彼の優しい唇。

触れるだけのキスを一度して、おでこをくっつけてお互い見つめあった。



私すごくドキドキしてる。



「ごめん、さっきあんなことオトコにされたのに。 俺のこと怖くない? 大丈夫?」


「うん、平気だよ」



本当に不思議。

悠木と居るとさっきまでの怖さが嘘みたいに吹き飛んでいく。




「美月、可愛い…。 可愛いから、責任とってくれる?」


「…うん」




再び重ったキスは普段の悠木からは想像もできないほどの激しいものだった。


でも強引じゃなくて、荒々しくなくて。


同じ男でも、当たり前だけどさっきのアイツと全然違う。

顔が近づいてきただけで恐怖で身体が強張ったのとは…。




悠木のは、ただ頭の芯がボーっとするほど気持ちよかった。



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