狂愛
「ごめん、つい見かけて声かけたくなって」
「…うん」
痛い沈黙。
私達の間には二度とあの甘い恋のときめきは起きないだろう。
「ちょっとだけ話したいんだけど、いい?」
おどおどする彼。
もしかして、自白してくれる気になったのか…。
いつまでも逃げ続けられるものじゃない。
それなら、今ここで決着をつけよう。
そう思って、私はなるべく人の多い喫茶店に俊と入った。
だが席に着き、飲み物が来るまで俊は話そうとしない。
アイスコーヒーを一口のみ、意を決したのかようやく口を開けた。
「俺…ずっと美月に謝ろうと思ってたんだ」
ぽつりぽつりと、でも一言一言はっきりと切り出し始める。