狂愛
だが――。
「えっ、俺が行ったのはコンビニの時だけだぞ」
きょとんとした顔の彼。
口元は手で隠されていない。
「本当に? じゃあ何であの時来たの?」
「何でって…店に電話があったから」
電話…?
「若い男の声で、美月があそこのコンビニであの日働いてるって言われたんだよ」
「誰それ!?」
「いや名乗らなかったな。 でも優しい声だったよ」
優しい声って……。
「まぁ俺もずっとお前のことが気になってから、あの日行ったんだけどさ」
「……そう」
過去を清算できてスッキリしたのか、俊は私が好きだった頃のように笑った。