狂愛

だが――。



「えっ、俺が行ったのはコンビニの時だけだぞ」



きょとんとした顔の彼。

口元は手で隠されていない。



「本当に? じゃあ何であの時来たの?」


「何でって…店に電話があったから」



電話…?



「若い男の声で、美月があそこのコンビニであの日働いてるって言われたんだよ」


「誰それ!?」


「いや名乗らなかったな。 でも優しい声だったよ」



優しい声って……。



「まぁ俺もずっとお前のことが気になってから、あの日行ったんだけどさ」


「……そう」



過去を清算できてスッキリしたのか、俊は私が好きだった頃のように笑った。



< 31 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop