狂愛
目の前の悠木は、もう私の知っている悠木じゃなかった。
「あの時の傷まだ痛むんだ。 でもおかげで、美月はやっと俺の方を見た」
「違う! そんなんじゃない!」
「嘘ついちゃだめだよ美月? 気持ちよかっただろ、あの時のキス」
そう言い悠木はあの時以上に激しいキスをしてきた。
「…んぅっ、やぁっ――!」
無理やり口をこじ開けられて、彼の舌が入れられる。
「ふぁ…や、だ……」
優しさなんてこれっぽっちもない。
ただ痛いだけのキス。
息もできないほど舌を絡められ、どちらのかも分からないほど混ざり合った唾液をナニかと共に飲み込んだ。
ようやく唇が離れると、彼の唇と私のとの間には銀の糸がいやらしく繋がっていた。
それをまた悠木に舐めとられる。