狂愛
早く、早く、早く!!
その時、手に金属製の冷たいものが触れた。
鍵だっ――!!
それをぎゅっと握り締め、マンションのドアに差込み素早く中に入る。
ガチャッという音を立て、ドアは再び閉まった。
もうこれでアイツは入って来れない…!!
アイツとの間に一枚壁ができたことによって、安堵し一気に全身の力が抜けた。
玄関口の住人のポスト陰からゆっくりと外を見渡す。
一体誰がこんなことを……?
アイツはきょろきょろとマンションの近くで右往左往していた。
薄暗くてよく見えないが、長身で若い感じだ。