それだけでよかった
坂本冬樹。
志木夏野。
誕生日は7月7日。
年齢は16歳。
一緒に生まれて、一緒に育ってきた。
病院も同じ。生まれた時間も変わらない。
小学校も中学校も同じ。
知らないことなんて、ない。
だから、こうなることも、ある意味では必然であり、当たり前なんだ。
「合格した。冬樹は?」
「余裕」
高校だって、むしろ一緒じゃなきゃおかしいくらい。
「さすがにクラスは違うね」
「まあ、俺特進だし?」
「はあ?なにそれ、喧嘩売ってんの?」
こういうちょっとした喧嘩のときの冬樹の反応だって、知らないわけない。
「売ってないよ」
そう言って、優しく苦笑するんだ。