それだけでよかった

私の予想は外れない。

だから、高校に入ってからの私と冬樹なんて、予想出来ていたんだ。

それでも、冬樹に比べて、こういう自分は情けないと思う。

「おう、来た来た」

「……やっぱ、クラス帰るよ、邪魔みたいだし」

「なんだよ、ひとりで飯食いたいんだったらいいけどさ」

お昼にはもちろん、冬樹のところに行った。
友達という友達がまだいなかった私には、とてもいい場所だった。

何より冬樹の傍だから。

でも。

「冬樹ぃ、早く食べようよ」

「そんな子ほっときゃいいじゃーん」

いたたまれないし、苦しい。

「まじで食わねえの?」

冬樹が私を見る。
その眼差しも、苦しい。

「友達いないわけじゃないし。帰るよ」

こうやって、冬樹の優しさを振り払う自分も、やけに嫌で。

< 5 / 13 >

この作品をシェア

pagetop