修行しましょう!
暇だったので部室で歴代妖怪図鑑を読んでいるとひとりの小さい女性が入ってきた。
「初めまして。映画研究会に入会する森田です」
大きすぎるリュックサックを背に、身長の半分まである黒髪を結んだ小柄な女の子がそこにいた。
「どうも。四年の高田です。今日は新歓コンパなんだけど今日は四年生は私だけ。就活で皆忙しいらしい。二年生と三年生で五人いて一年生は君を合わせて三人ですから」
私は一息に早口でそう言いました。
するとしばらく呆然とした様子で私を眺めていたが突然何かを意を決したように私にこう聞いてきた。
内容はアルバイトがしたいのだがどれにしたらいいのか分からないからアドバイスをくれと言う。
初対面の先輩に何をいきなり聞くんだこの人は!と思う。
そもそも私は人見知りだし女性には尚更その度がます。現にドキドキしている。さっきの早口だってかなりの勇気の要った始末だ。
落ち着け、相手は新入りの一年生だ。二年生と三年生はダメだが一年生に浮わつくな俺!
浮わつき加減の私の前に一冊のピンク小冊子を出しこう言う。
「私、これなんかどうかなと思うんですけど。時給が高い!稼げますよね?」
見ると四時間で一万円。ホール接客。
うん?
「君、森田さんちょっとこれは」
その冊子を取り上げまじまじと他の求人内容を見た。
いわゆる夜のお仕事。キャバクラやその類いや、しかも風俗店まであるではないか。
私の顔を真っ赤になり鼻血が出そうになった。
「森田さん、君、思いきりのいい人ですね。でももう一度考え直した方が良い。もしかしたらこのバイト、大きな落とし穴かもしれませんよ…」
私はぶるぶる震えていた。