修行しましょう!
「おや、神妙な顔つきでどうしましたか?」
アパートまで帰るのにこの参道は近道だからよく通るのだがこの坊主にまた遭遇した。
「こんな夜中に何してるんですか?」
暗闇の中だと不気味である。
「私はいつでも年中無休で修行中。で、あなたはどうしたのです。」
私は答えるつもりは無かったが酒酔いの勢いもあり事の一部始終を話した。
いや、一部始終ではなく大部分の始終を。
また就職に失敗したこと。もう諦めようと思っていること。自信がないこと。そもそも働きたくないこと。それと。
コンパのこと。
変な一年生の女の子のこと。キャバクラや風俗店でアルバイトしようとしていて、それを辞めさせたこと。地道に働け、なんて言ったこと。その子がやたら大食いなこと。ここ最近はお茶漬けしか食べてないほどお茶が好きなこと。コンパの居酒屋の席で二十歳未満は酒を飲むなと同期の一年生と先輩の二年生までに、さらには三年生までにも年齢チェックをし、烏龍茶と緑茶を強要していたこと。等々。
坊主はうんうんと聞いていた。
「お茶漬け?。ふふふ。なるほどなるほど。危なっかしいですね」
「ええ、そうなんです」
「その子も、君も。危なっかしいですね。ふふふ」
「私も?」
坊主はまたするすると闇の中に消えていきました。
そんな変な夜でした。