修行しましょう!
まずい。非常にまずい。
こんなにひどいものなのか氷河期。もう桜も満開を過ぎ葉桜になろうとしているのに、内定が取れない!周りの奴らは1、2社は内定してるのになぜ俺にはないのだ。確かに就活に向けて何の準備もなくただ己の人柄だけを武器にしていた装備の甘さは否めないが、エントリーシートや履歴書で連敗してるじゃないか!面接にも挑めん。「当社は人柄重視」とあった会社まで突き放される始末。唯一の武器も弾かれてしまった。20社余り飛ばした履歴書も残るは後1社の連絡を待つのみ。
願を掛けよう。

「何かお困りですかな?」

参道で掃除をしている若い修行僧が声を掛けてきた。

「困ってますよ。で願を掛けに来たんです。どうぞご心配無く」

「それは困りました。願掛けではここはあまり有効ではないお寺。」

「そうなんですか?」

「はい。願掛けで成就した報告はまだありません」

「迷える子羊とは俺の事か」

「迷子なのですか」

「まぁ、色々と…」

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