修行しましょう!
おそらく午前中の早い時間ならば、そんなに大船観音を見に来る人は少ないだろうだろう、という思算で八時にはスタンバイできていた。
一人目、初老の男性、巨大な大船観音の横っちょから大船観音に扮した私を見つけると、しばらく固まり、お辞儀をして去っていった。
五人目まで同じような行動をとった。
五人とも初老の人だった。
六人目は女の子の集団四人。
私に気付くと恐る恐る逃げていった。
私はただ姿を現すだけで良いという感じだった。
七人目。
これで最後で切り上げようとした。
私はしばらく巨大な大船観音を見上げて思った。
こんなことをして、バチがあたらないかと。
すると黒髪の長い女の子が赤いリュックを背負って、巨大な大船観音の前で呆然と立ち尽くしている。
こちらに気付いたようだ。
ハッとした顔からまた呆然とした顔になり固まっている。
ん?おや?
私は首をかしげた。
するとその人も首をかしげた。