修行しましょう!
「あのお坊様」
「なんでしょう」
「私お金無くて一週間食べるものが無いのです。静岡名産のお茶しかないのです」
「お困りだったのはそれなんですか」
「それです」
「なるほど。それはお困りな事です。一週間食べるものが無くお茶だけではヘトヘトになってしまいます。でも多分生き絶える事はないでしょう。生きていられる。それだけで満足ではありませんか」
「お坊様。私はヘトヘトになると生き絶えるのです」
「それは一大事な事です」
「はい。私、絶滅の危機です」
「ではお米を差し上げましょう。」
「えっ。有り難きお言葉!」
「それとふりかけとたくあんも差し上げましょう。一週間お茶漬け食べ放題」
「すてき!お言葉に甘えさせて頂きます!」
「待っててください。今買ってくる」
お坊様は私にほうきを持たせ、するすると姿を消したかと思うと重そうにビニール袋を手に息を切らせて戻ってきました。
「ほれ。多分一週間分」
「本当にありがとうございます!命、助かりました」
「うむ。中にレシートが入っておるからな。必ず金返せ」
「あ、はい!必ずやお返し致します!」
そうするとお坊様は私からほうきを取り戻し、なにかぶつぶつ呟きながらするするとお寺の方へ姿を消し去りました。
きっと高尚なお経を唱えていたのでしょう。
私はその方に向かって手を合わせ呟きました。
「なむあみ」
「なむあみ」