修行しましょう!
「あのお坊様」
「はい。なんです」
「今大学四年生でして就活してるんですが内定がとれないんです。もう22社も応募してるんですが全て履歴書で落とされるんです」
「それはそれは」
「どうしたらいいでしょうか?何か高尚な教えを聞かせてくれませんか」
「うむ。そうですね。高尚な教え」
「そうです!何か高尚な事を教えてください」
「そんなの知らん」
「はい?」
「ではどうです。
まずは落ち着いて座禅しましょう」
「はい?」
「目を瞑り、座を組み、ご自分に問いかけてみるのです。答えが見つかりますよ。多分」
「あ、いや結構。それなら自己分析シートで結果出てますから」
「そんなんじゃなくて座禅してみろってーの。本堂までご案内して差し上げますよ」
「あ、いや、これから用事があって、また今度伺いますよ。気が向いたら」
「きっとですよ。きっとあなたは気が向きますよ。ふふふ」
坊主は薄気味悪く微笑むとするすると姿を消していった。
変な物を見てしまった。変な物に会ってしまった。疲れているんだろうか。何かに憑かれてしまったのだろうか。
坊主が去った方に手を合わせ呟いた。
「なむあみ」
「なむあみ」