37度の微熱
そう言った晋司は再びイチャつきだした。

正直俺はそんな気分じゃない。

今だって帰る気満々だったし。

どうこう考えていたら遅れてきた女が俺の隣に座ってきた。


「あの、よろしくね?」

「…あ、よろしく」


初めて弥生と目が合ったのはこの時だ。

第一印象は【目が赤い女】だった。


なぜなら、さっきまで泣いていました、という赤い目をしていたから。



「珍しいね…名前。」

「え?」

「あきっていうんでしょ?男の子であきって名前、初めて聞いたから。」

少し照れて、笑いながら聞いてきた。

「うん…よく言われるんだよね。」

つられて俺も笑う。条件反射みたいに。

「どんな字なの?」

「安心の安に、輝くで、安輝。」

「え!すごい!なんかカッコイイ名前だね!」

俺はその言葉に目を丸くした。
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