37度の微熱
「まあようするにあれだ?」

突然俺と弥生の話に晋司は割り込み、語りだす。

「お前は本気の恋をしたことねえからそう言えるんだよ」

「は?ちょっと待て。なんで友達を好きにならないとかの話でそういうことになるんだよ。どう考えても関係ねえじゃん」


俺は晋司の言葉にムキになった。


今の言葉だけは、本気でむかついたから。



「安輝の話聞いてると正論過ぎてなんか違う」


正論?


「どういう意味だよ」



「ムキになんなよ。お前が本気の恋愛していないって本当だろ?
今までだってずっとそうだったじゃん」


晋司はまっすぐ俺の目をみて言った。



確かに、晋司の言う通り俺は今まで一回も告白すらしたことがない。
ぶっちゃけ女には困らなかったし、軽い付き合いだけでいいと思っていたから。
今日振られたって言ってもいつものことだ。
未練なんてないし、逆に6ヶ月も続いたことが俺は凄いと思う。


でも、晋司。俺は全部適当な付き合いでいいなんて思ってない。

恋愛なんて面倒臭いものだけど、俺はそう思いながらもこうやって何回も繰り返してるだよ。

それは少しでも、恋愛に本気になりたい自分がいるからなんだよ



「適当に女作って、気が付いたら別れてるしさ…今日だって…」

晋司は不満そうに話を続ける。



こいつはまっすぐすぎて不器用だから、【友達以上、恋人未満】といわれて振られることは分かる気がする。

でもそれは、単なるキレイな断り方っても言うんだよ。


最初から友達という関係にしてから告白なんて無理に決まってる。
それなら、最初から友達という関係にしない方がいい。


友達以上も恋人未満っていうのは要するに恋人になる可能性はないって言ってるのと同じじゃねえかよ。



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