37度の微熱
*  *   *


「安輝、ごめんね…。結構楽になったよ」


外に出て15分くらい経ったころ、弥生は話せるようになっていた。


「全然いいから!それより、大丈夫?」

「うん。なんとか…」

そう言って弥生は笑った。

弥生が笑ってよかった。俺は弥生の笑顔をみてそう思った。

「よかったな。…今日はもう帰る?」

「え?なんで?」

「だってまだ気分悪いだろ?帰って休んだほうがいいよ」

「それは嫌!」


突然大きな声で怒鳴るように言った弥生に俺は目を丸くした。


弥生を見たら顔をふせ、眉間にしわが寄っている。


「…弥生?なんかあったの?」


弥生がそうなるのはその赤い目も関係してるんだろ?

きっとお前は合コンに来る前までずっと泣いていたはずだから。


「…まだ家には帰りたくないよ…」

悲しそうな顔で俺を見て言う弥生は本当に帰りたくないみたいで、みんながいる部屋に戻りたいと言ってきた。

「分かったよ…でも、気分悪くなったら言えよ?」

「うん…」

俺がそう言うとどこか悲しそうな顔をして笑う弥生。


そんな悲しい顔をされたら

なんで帰りたくないの?なんて聞けるはずもなくて。

< 18 / 68 >

この作品をシェア

pagetop