37度の微熱
それから俺たちはみんながいるカラオケに戻り、また楽しく歌い始めた。


「弥生ちゃん大丈夫なの?」
みんなが盛り上がってる最中に、俺の隣に座った晋司が小さな声で聞いてきた。


「うん。まぁ…大変だったけどな?
今は大丈夫だろ。あんなに歌えるくらい回復してんだから」



弥生は今、ついさっきまで、吐きそうな顔をしていたのが嘘のように、楽しく友達と熱唱している。心配して損したと思ったけど、今笑っている弥生を見ると俺は嬉しくなった。



「なあ、安輝、俺、お前が弥生ちゃんと外にいる時、ゆかちゃんから聞いたんだよ。
あ、ゆかちゃんは俺のお気に入りの人な」


「ああ、さっき水持ってきてくれた人。」


「うん。」


「で?何を聞いたの?」


「それはあたしが話すよ…弥生、今他の子と熱唱してるし」


突然割り込んできたゆかという女が真剣な顔で俺を見て言ってきた。
すごく申し訳なさそうな顔をして。



「安輝君だよね?あたしゆか!ゆかでいいからね!」


「あ、俺も安輝でいいから」


「うん!

……あの…さっきはごめんね」


そう言ったゆかは笑っているのにどこか悲しそうだった。



「あ、全然いいよ?…
ねえ、弥生何かあったの?」



俺は、何よりも気になっていたことを思い切って聞いてみた。

あの赤い目も、きっとゆかが今から言うことに関係してるはずだから。


何で泣いているのか、家に帰りたくない訳なんて、本人に聞けばいいと思ったけど、正直聞けない。


誰にだって触れたくないことはあるはずだから。

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