37度の微熱
「…ハァハァ。
弥生、お前どこにいたんだよ!みんな心配したんだぞ!?
電話にも出ないし、親父さんだって…」


息を切らして走って来た男は弥生に向かっていきなり怒鳴った。



「…健ちゃんには関係ない」

暗い顔で、うつむきながら弥生は言った。



ほら、当たってしまった。

今、弥生に向かって怒鳴っているこの男は



今日弥生を振った男なんだから。



弥生を見れば分かってしまう。


「健ちゃん」と愛しそうに呼ぶ弥生の声や表情で。



きっとまだ、弥生は好きなんだろう。



「そんな言い方ねえだろ…。
今日は、俺が悪かったよ。お前勘違いしてるんだよ」



そして、きっとこいつも弥生のことが好きなんだ。
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