37度の微熱
背後から聞こえた俺を呼ぶ高い女の声。

この声に聞き覚えがある。

だって昨日聞いたばかりの声だったから。

もう、あの人しかいないって思った。

俺はゆっくりと後ろを振り返った。

目の前には、予想通りの彼女がいた。


「…弥生」




これじゃぁ、目立つわけだ。
聖鵬がうちの学校に来るなんて異例のことだし。


「…なんでここにいんの?」

俺は冷たく、そっぽを向くように言った。


「昨日のこと、誤りたくて…」


「昨日?そんなのもういいよ」

昨日のことなんてまるでなかったかのように。

氷のように冷たく、とげがあるように言い返した。






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