モノクローム
「脱いで」



着替えを終え、戻って来るとシロが言った。


「はぁ?」



目の前で服を脱ぎながら、「早く」と私を急かす。



「嘘でしょ?」

「時間なくなるから早く」


「……」



言われるがままに、シャツに手をかけ、ボタンを外そうとすると彼が止める。


「なにしてんの?」

「だって…」


「リリーってバカ?それ昨日の服じゃん。女なんだから、毎日着替えんだろ。ほら、早く」



ぶつぶつと文句を言いながら、袋から適当に服を選び、それを次々に投げ付けた。
それを受け取り、再びバスルームへ足を運ぶ。

だが、私はそこで服を広げただけで、リビングに戻った。




「ねぇ」

「あぁ?なに、まだ着替えてねぇの?」

「無理だよ…」

「何が?」

「これ」



彼に自分が手にしてる物と、繋がれている鎖を取って見せた。


「それがどうかした?」


「私が今履いてるのはゴムのスカート。ほら、ね。シロが選んだのは普通のスカート。…どっちが簡単に履けると思う?」




「あぁ…そっか」



それは、お互い考えなくても分かる事。

シロは手錠を外し、それを引き出しにしまった。
私は少しだけ、体が軽くなった気がした。
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