モノクローム
一週間ほど過ぎた朝。

目を覚まし、寝返りを打つとシロの姿がない。
どうやら一足先に起きたようで、テーブルの上にメモが残されていた。


大学に行ってくる。


たった一言だけのメモは、彼女だった時のシロの優しさを彷彿とさせた。

私はいつものように身支度をしようとバスルームに向かい、ある程度の事を済ませ、服に手を掛け、その手を止める。




「シロ」


彼が出掛けた事などすっかり忘れ、思わずリビングに向かって呼びかけていた。
当然ながら返事はない。


朝は必ず彼が先に起きてる物だ。と勝手に決めつけていた私は、肩を落としてリビングへと戻った。

テーブルにあるメモを再び手にし、確認するように見た後、用意された食事に手をつける。
それはまだ温かく、私が起きる直前まで彼が待ってた事を示していた。



それから、一人で黙々と食事をし、後片付けを終えて携帯を見たり、テレビを観たり、彼が教えてくれたパソコンのゲームで遊んだりして時間を潰すが、いつまで経っても彼は帰って来ない。


昼を過ぎ、秋晴れの空が広がり、陽が傾いてもそんな気配はなく。
穏やかに日も暮れた時、私は待つのを諦めた。




「ただいま…」


深夜近くになってシロが帰って来て、ドアを開けた途端、手折れるように座り込む。
声を掛けて見たが、彼は酷く酔っているようだった。
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