モノクローム
それから散々だった。
年末には夫の両親が自宅に押しかけ、いきなり二人で頭を下げたかと思うと、「貴女の為にも離婚をして欲しい」とか「子供の事を考えて欲しい」等と口々に言われた。
別に何言われても平気だった。
その時にはもう離婚届けにサインしようと思っていたし、原因が夫に在ったのを理解し始めてたから…
でも、夫の両親は違った。
「貴女があんな目に遇わなければ、普通の夫婦で居られたのに…」
普通…
結婚当初から浮気をしている男が家庭を持つのが普通なのだろうか…
「原因は私だけ…ですか?…」
「そうとは言わないが…」
「英二は…あの子は、何度もやり直そうと思ったらしいけど、無理だって言ってました…だから…」
「慰謝料…ですか…?」
夫の両親がどうしてこんな事を言いに来たのか分かった。
それを証拠に両親は目の前で気まずそうに視線を落としている。
でも、それすら平気だった。
「…慰謝料なんて一円も要りません。ただ…」
両親はあからさまにホッとし、私の言葉を繰り返した。
「ただ?…」
「…私には仕事が有りません。見つかるまでの生活は保証して下さい」
その言葉に当然両親は良い顔をせず、渋々認めると言った感じで黙って頷いた。
年末には夫の両親が自宅に押しかけ、いきなり二人で頭を下げたかと思うと、「貴女の為にも離婚をして欲しい」とか「子供の事を考えて欲しい」等と口々に言われた。
別に何言われても平気だった。
その時にはもう離婚届けにサインしようと思っていたし、原因が夫に在ったのを理解し始めてたから…
でも、夫の両親は違った。
「貴女があんな目に遇わなければ、普通の夫婦で居られたのに…」
普通…
結婚当初から浮気をしている男が家庭を持つのが普通なのだろうか…
「原因は私だけ…ですか?…」
「そうとは言わないが…」
「英二は…あの子は、何度もやり直そうと思ったらしいけど、無理だって言ってました…だから…」
「慰謝料…ですか…?」
夫の両親がどうしてこんな事を言いに来たのか分かった。
それを証拠に両親は目の前で気まずそうに視線を落としている。
でも、それすら平気だった。
「…慰謝料なんて一円も要りません。ただ…」
両親はあからさまにホッとし、私の言葉を繰り返した。
「ただ?…」
「…私には仕事が有りません。見つかるまでの生活は保証して下さい」
その言葉に当然両親は良い顔をせず、渋々認めると言った感じで黙って頷いた。