モノクローム
その年、季節は早足で通り過ぎて行った。
長く降った雪のせいで夏は暑く、秋になっても汗を拭う日々。
そんな中、いつものように二人で食事をしてシートに寝転ぶ。
その頃には「仲岡さん」から「亜矢」に呼び捨てになっていた。
毎日のように空を見上げて、仕事の愚痴から課長のカツラ疑惑まで話し合う仲になった。
ひとしきり話した後、亜矢は必ず聞いてくる。
「秋って好きな人居るんでしょ?」
「どうして?」
「なんか同じ匂いするんだよねぇ」
そう言いながら、亜矢は私のシャツに鼻を付けて「出したばっかでしょ?」と言って笑いながら続けた。
「まぁ、それは冗談として。秋っていっつも空眺めてるでしょ。なんかその目が私と同じような気がして…」
同じ目か…
亜矢と似てるなら、どれだけいいだろう…
約束もあって、その為に頑張って、クリスマスには幸せになって…
私は亜矢に少し嫉妬しながらも答えた。
「居る…けど、その感情が正しいのか分からないんだ…」
湿った風が二人の上を通り過ぎて行った。
穏やかな秋風だった。
亜矢は言葉が見つからないのか、ぽつりと呟く。
「もうすぐ冬だね」
「そうだね」と私は返して、空を仰いだ。
雲の間から降りる光線の束に手が触れそうな、そんな気がした。
長く降った雪のせいで夏は暑く、秋になっても汗を拭う日々。
そんな中、いつものように二人で食事をしてシートに寝転ぶ。
その頃には「仲岡さん」から「亜矢」に呼び捨てになっていた。
毎日のように空を見上げて、仕事の愚痴から課長のカツラ疑惑まで話し合う仲になった。
ひとしきり話した後、亜矢は必ず聞いてくる。
「秋って好きな人居るんでしょ?」
「どうして?」
「なんか同じ匂いするんだよねぇ」
そう言いながら、亜矢は私のシャツに鼻を付けて「出したばっかでしょ?」と言って笑いながら続けた。
「まぁ、それは冗談として。秋っていっつも空眺めてるでしょ。なんかその目が私と同じような気がして…」
同じ目か…
亜矢と似てるなら、どれだけいいだろう…
約束もあって、その為に頑張って、クリスマスには幸せになって…
私は亜矢に少し嫉妬しながらも答えた。
「居る…けど、その感情が正しいのか分からないんだ…」
湿った風が二人の上を通り過ぎて行った。
穏やかな秋風だった。
亜矢は言葉が見つからないのか、ぽつりと呟く。
「もうすぐ冬だね」
「そうだね」と私は返して、空を仰いだ。
雲の間から降りる光線の束に手が触れそうな、そんな気がした。