モノクローム
あの時、自分が願った事だけは叶えてくれたんだ。
そう思った。
良かったと思う半面、少しだけ嫉妬している。
ほんの少しだけ…
塗装を終え、屋根の四隅の左角に腰を下ろし、空を眺めた。
いつからか、こんな癖が付いて、自分でもさすがにクサイなって思いながら見上げる。
そこは水色とも青とも言えない綺麗な色で、雲一つない、一点の曇りもない、淡い画用紙一枚を切り取ったような、そんな空だった。
その空を染めるように、さっきからずっと薄紅色の花びらが風に凪がれている。
まるで、雪みたいに…
「あ…マジで帰る気だし」
ふと見下ろした先に葉田さんが車に乗り込むのが見え、俺は声を掛けた。
「また奥さんとデートっすか」
「あぁ?うるせぇな、さっさと仕事しろ」
「もう終わりました」
「じゃぁ、さっさと帰れ」
葉田さんは眩しそうに目を細め、「まったく」とでも言いたそうな顔をし、さっさと車に乗り込み帰って行く。
多分、葉田さんはこれから奥さんとデート。
週に一回の約束で、結婚当時から行事みたいなもんらしい。
葉田さんは面倒そうにしてるけど、本当は楽しみで仕方ないんだと思う。
それを証拠に、たまに自分に向かって言う事がある。
「お前も早く好きな人見付けろ。楽しいぞ」
そう思った。
良かったと思う半面、少しだけ嫉妬している。
ほんの少しだけ…
塗装を終え、屋根の四隅の左角に腰を下ろし、空を眺めた。
いつからか、こんな癖が付いて、自分でもさすがにクサイなって思いながら見上げる。
そこは水色とも青とも言えない綺麗な色で、雲一つない、一点の曇りもない、淡い画用紙一枚を切り取ったような、そんな空だった。
その空を染めるように、さっきからずっと薄紅色の花びらが風に凪がれている。
まるで、雪みたいに…
「あ…マジで帰る気だし」
ふと見下ろした先に葉田さんが車に乗り込むのが見え、俺は声を掛けた。
「また奥さんとデートっすか」
「あぁ?うるせぇな、さっさと仕事しろ」
「もう終わりました」
「じゃぁ、さっさと帰れ」
葉田さんは眩しそうに目を細め、「まったく」とでも言いたそうな顔をし、さっさと車に乗り込み帰って行く。
多分、葉田さんはこれから奥さんとデート。
週に一回の約束で、結婚当時から行事みたいなもんらしい。
葉田さんは面倒そうにしてるけど、本当は楽しみで仕方ないんだと思う。
それを証拠に、たまに自分に向かって言う事がある。
「お前も早く好きな人見付けろ。楽しいぞ」