鬼りんご
反射的にその手を上から掴み、「やめて!」と声を上げた。

朝にもスカートをめくり上げられた時、同じセリフを言った気がする。

修司に下着姿を見られるなど今に始まったことではないが、もう小さな子供ではない。

いい加減に境界線を引くべきだ。


「やめない、早く太ももを冷やさないと」

「自分でするから、貸して!」

「遠慮することないよ、俺がしてあげる」


違う、遠慮なんてしていない、どうして気付かないの。

できることなら優しい修司を傷つけるような言葉は言いたくない。

でも、ここで言わないとこれからもこの調子のままだ。下唇を噛み、拳を強くにぎる。

そして、決断した。

今の想いを弱々しい声で言葉にしてみる。


「い、いやなの、そうやって修司に触られるのがいやなの。だから、やめて」


何を言い出すの、とでも言うかのようにキョトンとした表情で私の目を見てきた。

その目を少し睨みつけ、次は大きな声ではっきりと言葉にした。


「双子同士でここまで仲良くするのは変だと思うの!」

「変?最高だね、その言葉。俺からしたら、もっと仲良くしたいぐらいだよ」


返って来た言葉に唖然とする。
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