鬼りんご
結婚だなんて、考えたこともない。

ましてや、兄妹で、そんなのダメに決まっている。


「遺伝子の問題があるのは確実だけど、そんなの性行為をする時は避妊すればいい。子供が欲しいなら他にも様々な手があるわけだし、兄妹でも十分に幸せをつかめると思うんだ」

「わ、私は、きちんと愛してくれる人と出会って、その人の子供を産みたい、な」

「そんな奴現れたら、俺、何をしでかすか分からないよ」


背中から腕を離し、無邪気な笑顔でそう告げてきた。

「それじゃあ、俺もそろそろ風呂入ってくるね」保冷剤を拾い上げ、固まる私の手へ置き部屋を出て行った。

数秒後、足が震えだし崩れるように床へ座り込む。

――結婚、遺伝子の問題、避妊?

聞き慣れない言葉が並び、一気に恐怖心が芽生えた。



ああ、異常だ。


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