鬼りんご
一週間後、停学が明けた彼は私のクラスへ訪れた。
謝罪に来たのだ。
しかし、私の姿を見ると目を見開き唖然とした表情で、「その右目」短くそう言った。
「あの、あなた誰だっけ?」気まずい雰囲気を感じたので、わざととぼけた。
「入学式の日は、ごめん、停学が明けたんだ」
「ああ!いえ、もう気にしてないので」
「気にしてないって、その右目、オレがやったんだよな?!最低だけど、あの時の記憶が全くなくて、ごめん、いろいろごめん」
違う。
あなたに傷つけられたのは頬と背中。背中のアザはまだ消えていないが、頬の腫れは引いた。
右目はその日の今朝、全く知らない上級生に殴られたものだった。
「違うよ!転んだの」
「転んでそこまで腫れるのか?変色してるじゃん」
「足がもつれて階段からドテーンですよ、本当に私ってどんくさい!」
なるべく明るく、明るく、振る舞う。
翌日は右目を殴ってきた上級生が校門前で謝罪してきた。
二言目には、殴った覚えがないんだ、と言われた。
この二人だけではない、今まで私に殴りかかってきた全員が、覚えていない、と言い切る。
とにかくだ、入学早々このような事態になり、もちろん友達などできるはずがない。
そりゃそうだろう、自分でもそう思う。
怖い、なにあの目、二日前は頬が腫れていたよね、片目紫色だ、近寄らない方がいいよ、小さな声がたくさん聞こえてきた。
思い切って入学式後に一緒に歩いていたクラスメイトへ声をかけてみたが、「ごめんね」目さえ合わせてもらえなかった。
そんな私も今月で二年生となった。
友達が一人もできないまま、よく学校へ来ようという気になれるものだ、周りからはそう思われるかも知れない。
それでも高校はきちんと卒業したい。
ああ、まただ。今のように、すぐ過去を振り返ってしまうのは悪いクセ。
カバンから弁当を取り出し、人気の少ない場所へと移動した。
謝罪に来たのだ。
しかし、私の姿を見ると目を見開き唖然とした表情で、「その右目」短くそう言った。
「あの、あなた誰だっけ?」気まずい雰囲気を感じたので、わざととぼけた。
「入学式の日は、ごめん、停学が明けたんだ」
「ああ!いえ、もう気にしてないので」
「気にしてないって、その右目、オレがやったんだよな?!最低だけど、あの時の記憶が全くなくて、ごめん、いろいろごめん」
違う。
あなたに傷つけられたのは頬と背中。背中のアザはまだ消えていないが、頬の腫れは引いた。
右目はその日の今朝、全く知らない上級生に殴られたものだった。
「違うよ!転んだの」
「転んでそこまで腫れるのか?変色してるじゃん」
「足がもつれて階段からドテーンですよ、本当に私ってどんくさい!」
なるべく明るく、明るく、振る舞う。
翌日は右目を殴ってきた上級生が校門前で謝罪してきた。
二言目には、殴った覚えがないんだ、と言われた。
この二人だけではない、今まで私に殴りかかってきた全員が、覚えていない、と言い切る。
とにかくだ、入学早々このような事態になり、もちろん友達などできるはずがない。
そりゃそうだろう、自分でもそう思う。
怖い、なにあの目、二日前は頬が腫れていたよね、片目紫色だ、近寄らない方がいいよ、小さな声がたくさん聞こえてきた。
思い切って入学式後に一緒に歩いていたクラスメイトへ声をかけてみたが、「ごめんね」目さえ合わせてもらえなかった。
そんな私も今月で二年生となった。
友達が一人もできないまま、よく学校へ来ようという気になれるものだ、周りからはそう思われるかも知れない。
それでも高校はきちんと卒業したい。
ああ、まただ。今のように、すぐ過去を振り返ってしまうのは悪いクセ。
カバンから弁当を取り出し、人気の少ない場所へと移動した。