空色ブロッサム




「…冗談言わないでくれない?不愉快よ」



 『大事な恋人』なんて、思ってもいないくせに、平気でそういうことを言うこの男に、嫌気が指す。




「酷いなぁ。本気で言ってるのに」



 傷つくね、なんて言う言葉と悲しげな顔に惑わされたりなんかしない。


 一見、優男で聖人君子のようなこの男が、仮面を幾重も被った、とんでもない女タラシで、最低男なのだと知っているのだから……。




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