プレゼント
二番線に電車が参りますー
ホームに流れるアナウンス。
「電車、来るから、またね」
大樹も家に帰るなら同じ電車だけど。
桜への気持ちを知ってしまったら、どうしても一緒にいられなくて。
わたしは逃げるように背を向けた。
「菜乃羽、もう一本、遅らせて」
そう、大樹の手がわたしの腕をつかんだ。
一緒にいるのは辛いけど……大樹の手を振り切れる程の勇気はない。
いや、本当はもっと大樹と一緒にいたいんだ。
相反する気持ちが交錯して立ち止まっていると、大樹が腕を引っ張った。
「とりあえず、座ろ」