【ほのB】人間の本質は愛なんじゃないかな?
そんな彼にも、攻撃だけでは勝ち取れない現実の壁があったようだ。
海外遠征の為、就職活動に出遅れた先輩は、部活も休み就職活動に専念していた。
その彼に、四年の夏休み過ぎの今九月、やっと就職内定が降りたらしい。
「先輩みたいな有能な人でも、就職キツイって、俺、再来年が思いやられます」
「やだ、何言ってんの?
蜷川君、優等生じゃない。
成績良いし、身のこなしもそつが無いし。
世渡り上手そうだよ。
寧ろ新堂君みたいな一本気なタイプは、今時の企業人には向かないのかも」
「なんて、そんなこと言って。
日向さんは、そういう先輩が好きなんでしょ」
「まぁね。
だって、あんな真っ直ぐな人、そうそう居ないよ」
そう言って、日向さんは先輩の姿を優しく目で追った。