【ほのB】人間の本質は愛なんじゃないかな?
「何だ何だ、二人でコソコソ廊下で内緒話か?」
俺とお袋の話し声を聞きつけて部屋から出てきた親父に、ガシっと肩を掴まれた。
「んな訳ないだろ、親父!」
ったく、どんだけお袋が好きなんだ!
と俺は、親父を睨みつけた。
そうだよ、全ての元凶はこいつだっ!!!
「何だその顔は!
少しは感謝しろ!
今、お前がここにいるのは、わしと美佐緒が愛しあったからだぞ!
わしら二人が、愛を諦めなかったから、お前がここにいる。
まあ、爺さんのお陰とも言えるがな」
くくっ……と笑ったその顔は、何時見ても憎めない。
嗚呼、親父はそうやって、何時も物事を在るがままに受け止めて来たんだな、と思った。