【ほのB】人間の本質は愛なんじゃないかな?



「何だ何だ、二人でコソコソ廊下で内緒話か?」



俺とお袋の話し声を聞きつけて部屋から出てきた親父に、ガシっと肩を掴まれた。


「んな訳ないだろ、親父!」

ったく、どんだけお袋が好きなんだ!

と俺は、親父を睨みつけた。

そうだよ、全ての元凶はこいつだっ!!!


「何だその顔は!

少しは感謝しろ!

今、お前がここにいるのは、わしと美佐緒が愛しあったからだぞ!

わしら二人が、愛を諦めなかったから、お前がここにいる。

まあ、爺さんのお陰とも言えるがな」

くくっ……と笑ったその顔は、何時見ても憎めない。

嗚呼、親父はそうやって、何時も物事を在るがままに受け止めて来たんだな、と思った。
< 71 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop