穢れなき獣の涙
「可能性が無いとは言い切れない」

「どうやって行くつもりなんじゃ」

「うむ、海路、空路、転送とあるが」とアレサ。

 シレアはソーズワースの首をさすり、しばらく思案した。

「海路だ」

「本気か!? わしは反対じゃ」

「では、貴殿はどの道がよろしいと?」

「決まっておる。転送魔法じゃ」

 鼻を鳴らして発したユラウスに二人は顔を見合わせる。

「Transfer(トランスファー)の魔法を使って、どこの街に飛ぶつもりだ」

「ぬう!?」

 シレアの言葉にユラウスは顔を引きつらせた。

 転送の魔法は一度、その場所を訪れていないと成功しない。

 その場所にある魔法円を視界でまず捉え、確認する事で成立する魔法なのだ。

「五百年ほど前にギュネシア大陸には渡った事がある! 地図を見せろ」

 ユラウスの言葉にシレアとアレサは馬から降り、荷物の中から地図を取り出す。
< 125 / 464 >

この作品をシェア

pagetop