穢れなき獣の涙
*警告
ソルデラウスには六日ほどで到着する。
見渡す限りの平原に黒い岩が点在し、生息する危険な生き物もあまりいない。
ここで最も注意すべきは空のモンスターだ。
数は少ないとはいえ、上からの攻撃は脅威である。
平原には身を隠せる場所もない。
それを思えば、耳の良いエルフがいる事は心強い。
「何がそんなに不満なのじゃ」
二人の後ろからゆっくりした足取りで続くシレアに眉を寄せた。
「違う」
「ならば、どうしてそんな難しい顔をしている」
「大気がざわついている」
それを聞いた二人も空を見上げた。
雲は厚く、気流は乱れているようだが、気にするほどでもないようにも思えた。
旅慣れているシレアの勘なのだろうか。