穢れなき獣の涙
「どれくらい」

「共に上級魔法を」

 海でモンスターと出くわしたとき、海中での戦闘はこちらが圧倒的に不利となる。

 そこで接近戦の必要が無い魔法は重宝するという訳だ。

 男はあごをさすり、しばらく考えてニヤリと笑った。

「よし、いいだろう。俺はネドガレル、ネドリーでいい。そんであれが俺の船シャーク・スピナー号だ」

 煙草でくすんだ歯を見せ、背後にある大きな船を親指で差す。

「よろしく頼む」

 交渉は成立し、差し出された手を握った。






< 138 / 464 >

この作品をシェア

pagetop