穢れなき獣の涙
◆第五章-うねる大海-
*波に揺られて
そうして三日後──
「良い天気じゃのう~。航海日和じゃ」
呑気に空を見上げて発するユラウスを横目に、シレアとアレサはシャーク・スピナー号を見上げる。
船員が航海に必要な分の荷を積み終わり、乗客たちが船に乗り込んでいた。
船は幾度もの航海に耐えてきた証を船体に刻み、それが客の安心感を与えている。
大陸間の航行は上品にはしていられない、無骨な船体は荒々しくも頼もしい。
美しく装飾された遊覧船のようにはいかないのだ。
「よう、来たか」
三人の姿を見つけたネドガレルは軽く手を上げる。