穢れなき獣の涙
 言語は彼ら独自のものも存在するが、現在では人語が主流となってきている。

 それだけ交流が盛んな証だともいえた。

 服装は言わずもがな。尾があるぶん、それに見合う作りになっている。

 ツヤツヤの皮膚は緑だけでなく黄色やオレンジと色とりどりで、生まれた場所によっても変わるらしい。

 表皮は硬いため、分厚い鎧は必要ない。

 しかし人間のように体温調節は出来ず、寒さには極端に弱い。

 そのせいなのか、大陸の上半分にはリザードマンに類する種族は住んでいない。

 長い口からは、ずらりと並んだ小さな牙が覗いている。

 二股に分かれた舌を忙しなく出し入れしているのは、湿気などを感じるためだとか。

 彼らはその習性から、天気を読むことに長けている。

 見慣れるまではこの感覚がついてまわると考えると、アレサは溜息を吐かずにはいられなかった。
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