穢れなき獣の涙
[そなたがギュネシアまで来ようとはな]

「私は放浪者(アウトロー)だよ」

[そうであった。全ての地を歩きたいと言うておったな]

 それからドラゴンは、はたと気がつく。

[おお、まだ名乗っておらなんだ。我はヴァラオム。そこのシレアとは旧知の仲だ]

 嬉しさに駆け寄って体をすり寄せるソーズワースの顎(あご)を爪でくすぐる。

 その様子にユラウスとアレサは安堵して口元を緩めた。

 いくらシレアの友人と言われても相手はドラゴン、その力の恐ろしさを知っていれば警戒もするというものだ。

「わしはユラウス・マノアルス」

「アレサと申します」

 そうして、この出会いに感謝すべくシレアたちは食事の準備を始めた。
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