穢れなき獣の涙
*手がかりを追って
──朝
「すまぬ!」
「構わない」
平謝りするユラウスに、シレアはいつものことだと許した。
「よもや寝てしまうとは。なんたる不覚」
悔しそうに発するが、彼が寝ることは予想がついていた。
一度、馴染んだ生活習慣はそう簡単に抜けるものじゃない。
ユラウスが早く旅慣れすることを祈りつつ、旅の再開のためカルクカンに荷物を積んでいく。
「このまま北に進めば、小さな集落があるとのことです」
アレサは港町で聞いた話をもとに北を指す。
リザードマンは大きな街は作らず、小さな集落に別れて暮らしている。
エルフや人間のように平原や海沿い川沿い、山岳地にと広く散らばっている。
大きく違うのは、住んでいる場所によって外見が異なるところだろう。
港町にはあちこちのリザードマンたちが集まるため、多くの特徴を見ることができた。